日本では11月から新型コロナウイルスの感染者数が爆発的に増加していますが、その感染拡大被害というのは国内だけの話ではありません。
秋から冬にかけては海外の国でも感染者の数が増加傾向にあり、中には3月や4月におこなっていたロックダウン措置を再実施しているところもあります。
この記事では世界中で深刻な問題となっている新型コロナウイルスの感染拡大状況と各国がおこなっているロックダウンの現状についてご紹介していきます。
それぞれの国でどんな対策をしているのか?また、どれくらいの感染被害が広まっているのか?ということについて詳しく解説をおこなっていますので、ぜひ参考にしていってください。
コロナの第3波が到来!海外の感染状況や対策は?
冬を迎えるにつれて再び新型コロナウイルスの感染被害が広まっているわけですが、その問題は日本だけの話ではなく世界中で深刻化してきています。
一度はコロナの封じ込めに成功した国でも新たに感染者数の増加が認められる国が多数あり、その現状はいわゆる「第3波の到来」と言って間違いありません。
特に直近で大統領選がおこなわれたアメリカ、そしてヨーロッパでの感染拡大状況は非常に厳しいものがあると言えますが、「いったいどれくらいの感染者が出ているのか?」というのも気になるところです。
最近では日本のテレビであまり世界の感染者数を細かく報道しなくなってきています。
日本の感染状況がひどいため国内の話ばかりが取り上げられる傾向にありますが、世界における感染拡大状況を知るのも「自衛の意識」を持つためには必要なことです。
そこで、まずは世界における「コロナ第3波」の感染拡大状況から見ていきましょう。
これまでにおける海外のコロナ感染状況
こちらは2020年12月2日時点でのデータです。
海外の国におけるコロナ感染者数トップ8をランキング化したものとなりますが、やはり人口の多さもあってアメリカがもっとも感染者を出している国になっています。
そんなアメリカで現在のところ非常に大きな問題となっているのが「地方での感染拡大」です。
特にオハイオ州・ノースダコタ州・サウスダコタ州などのアメリカ中西部に位置する10の地域で、11月の感染者数が6月から計算して20倍以上になっていると言われています。
これはほかの地域と比べて2倍以上の数字ともされ、その被害状況はとても深刻です。
なお、人口100万人あたりに対する1日の新規感染者数の平均値も出ていますが、これを見ると感染拡大状況がいかにひどいかが分かります。
- ノースダコタ州:1,700人強
- サウスダコタ州:1,500人弱
- ネブラスカ州:1200人前後
- カンザス州:1000人前後
ちなみに日本で人口100万人の都市と言いますと、代表的なところは広島市と仙台市になります。
簡単に言えば広島と仙台で毎日1,000人以上の感染者が確認されていることになりますので、これだけでもその被害の大きさが理解できることでしょう。
続いて世界のコロナ感染者数第5位のフランスにおける被害状況も見ていきます。
フランスではこれまでにも外出制限が実施されていて、8月ごろには新規感染者数もやや落ち着く状況になっていました。
しかし、10月に入ってから新規感染者が爆発的に増え始めていて、1日あたり2万人~3万人ほどの感染者を出す日も珍しくありません。
そして、その被害はさらに広まり、10月末ごろと11月中旬には1日あたり10万人以上という驚異的な新規感染者数を叩き出しています。
(最初は5万人ほどの発表だったが、あとから推定10万人以上の感染者がいることが発覚)
こちらも日本の人口と比較すると分かりやすいですが、フランスの人口というのは全部で6700万人ほどです。
対して日本の人口は1億2千万人ほどですので、フランスは日本の約半分くらいの人口ということになります。
そして、日本の累計感染者数は12月頭時点でだいたい15万人程度で、フランスの累計感染者数は先ほどのグラフを見て分かる通りおよそ220万人以上です。
つまりフランスは人口が日本の約半分にも関わらず、日本より15倍近い感染者数を出しているわけです。
ピーク時の新規感染者数1日10万人を考えると、たった2日でこれまでの日本の累計感染者数を抜くことになりますので、これもまた感染拡大状況のひどさが分かるデータと言えるでしょう。
もちろんこれは日本にとっても他人事ではなく、対策を間違えればいつかこうした感染者数になるかもしれないということを人々は理解しておかなければなりません。
海外のコロナ対策や制限について
次に、日本よりも圧倒的に新型コロナウイルスの感染者数が多いアメリカやフランスといった海外の国では「どういった対策や制限をおこなっているのか?」という部分について解説していきます。
まず、日本と海外のコロナ対策に大きな違いがあるとすれば、それはロックダウンをおこなっているかどうかです。
ロックダウンは「都市封鎖」とも訳されますが、コロナ対策の上では「強制的な外出自粛」といった意味合いが強くなります。
つまり国が主導する形で国民に対して外出自粛を義務付けるということです。
ほかにも国によっては感染者が出たエリアだけを隔離する対策や感染者の足取りを細かく追跡する対策などをおこなっていますが、国家単位での大きな対策というとこのロックダウンが主な例となります。
そんなロックダウンについて、これまでに海外の国でおこなわれた事例を以下にまとめましたのでご覧ください。
- 中国
- イギリス
- フランス
- マレーシア
- アメリカ(カリフォルニア州、ニューヨーク州など)
- 北朝鮮(開城市)
- インド
など
こうした国々でロックダウンはおこなわれてきましたが、やはりその効果は高く、多くの国でその後の感染者数が減っています。
しかし、ロックダウンが解かれるとまた感染者数が増えだすというのは日本の緊急事態宣言解除後と変わりません。
ちなみに、なぜ日本よりアメリカやヨーロッパで感染者が増えるのか?という疑問もありますが、これには原因のひとつとして「文化の違い」が挙げられています。
なお、この文化の違いというのは「ハグやキス」のことです。
アメリカやヨーロッパでは日常的な挨拶としてハグやキスをおこないます。
そして、こうしたハグやキスという行為が感染をより広めているという見解も多く、フランスの政府からは「ハグやキスはしないように」といった国民への呼びかけもおこなわれています。
ということで、ここまでは海外の国における新型コロナウイルスの感染状況や大まかな対策についてご紹介してきましたが、次はご覧いただいた「ロックダウン」について詳しく掘り下げていきたいと思います。
現状でロックダウンをしている国はあるのか?その状況は?といった部分を見ていきますので、ぜひ参考にしていってください。
第3波コロナ禍においてロックダウンをしている海外の国は?
ここからは2020年12月時点における海外のロックダウン状況について説明していきます。
イギリス(イングランド)
3月末から5月にかけてロックダウンをおこなっていたイングランドでは、11月5日から12月2日にかけて2度目のロックダウンをおこなうことが発表されました。
12月2日以降に関しては規制の緩和を段階的におこなうとしていて、新規感染者や死亡者数を見ながら解除へと向かう方針となっています。
なお、このロックダウンでは生活に最低限必要な店舗や施設以外はすべて休業するよう国から要請が出ています。
この一面だけを見ても、日本の緊急事態宣言より影響力が強いことが分かるでしょう。
また、パブやレストランといった飲食店はテイクアウトのみ許可され、デスクワークに関しては基本的に在宅でおこなうよう義務付けられています。
ほかにも学校の授業は継続するものの、寮に住む学生の帰省の禁止といった項目が入っているのも特徴的な部分です。
- 屋内や庭で他世帯の人間と会うことは禁止
- 屋外の公共施設や運動場では1人とまで会うことが認められる
- チームスポーツは禁止
- プールやバスケットコートなどは全面閉鎖
こちらがイングランドでおこなわれているロックダウンのその他の特徴と内容です。
ご覧のようにかなり細かいところまで定められていることが分かります。
フランス
続いて先ほども軽く触れたフランスでのロックダウン状況を見ていきましょう。
フランスでは2度目となるロックダウンを10月末から開始しました。
当初はロックダウンの期間を12月1日までと設定していましたが、11月28日から段階的に解除していく方針としています。
ただし、ロックダウン規制の大半はクリスマス前まで継続していくとのことで、生活に必要のない店舗の営業禁止に関しては今後も継続しておこなっていくようです。
- バーやレストランの営業禁止
- 健康を維持するための1日1時間の運動以外の外出禁止
- 通勤や生活用品の買い出し、通院などの理由により外出する際には理由を記載した文書の携帯を義務付ける
- 複数人での集会の禁止
- スポーツ施設の閉鎖
- 学校の授業は平時の通り
こちらがフランス式のロックダウンの主な内容です。
外出をする際には正当な理由を記載した文書を携帯していなければならないというところが特徴的な部分と言えます。
なお、フランスではこのロックダウンを12月15日までにかけて段階的に解除していきながら、「外出制限措置」へと切り替えていくことを発表しています。
ただしレストランやスポーツ施設の営業再開に関しては1月20日に見直しを検討するとのことで、飲食業界やスポーツ関連施設などにおける経済的なダメージはかなり大きいと言えるでしょう。
スペイン
スペインでは10月25日に国内全土に対して緊急事態宣言が発令され、夜11時から翌朝6時までの外出禁止が義務付けられるようになりました。
なお、この対策は当初2週間程度を予定していましたが、発令されたあとすぐに来年まで継続しておこなうことが発表されています。
ちなみにスペインでは世帯が異なる人間同士が集まる場合は「その数を最大6人までとする」といった細かい決まりも定めています。
そして、その効果もあってかロックダウン後の感染者数はグラフを見る限り減少傾向にあるようです。
しかし、感染者を抑えるためのロックダウン対策が経済的困窮者を増やしている事実も否めません。
現段階ですでに失業者の数が爆発的に増えていて、政府へのデモ活動が活発化しているというのもスペインの現状です。
ドイツ
ヨーロッパの経済を支えるドイツでもロックダウンがおこなわれています。
こちらも当初は11月2日から11月30日までの1ヶ月という予定でしたが、11月下旬にその期間を12月20日まで延長することが発表されています。
- レストランやスポーツジム、映画館などの施設は全面閉鎖
- 私的な集まりは2世帯5人までと制限
- 小売店への入場人数規制
ドイツでは1日の感染者数2万人前後という状態が続いているため、ロックダウンについても数字を見ながら延長・解除を決める方針を取っているようです。
アメリカ
新型コロナウイルスの感染者数がもっとも多いアメリカでは、州ごとによって様々な対策が立てられています。
その中で、アメリカ最大の都市であるニューヨーク州では11月13日から部分的なロックダウンがおこなわれています。
レストランとスポーツジムの営業は午後10時までと定められ、集会は10人までに制限するといったものが主な規制内容です。
なお、アメリカではこのまま感染者数が下がらなければ州全体でロックダウンをおこなうことも検討しているようです。
そのほかの国
そのほかの国ではイタリアが11月6日から12月3日までの間、外出制限をメインとしたロックダウン対策をおこなっています。
映画館や劇場などの娯楽施設はすべて閉鎖、食料品・医療品以外の小売店も営業禁止というのが主な内容です。
また、インドでは以前から続いているロックダウン措置の延長などが一部地域で決まっています。
このように世界の国々ではロックダウンを基軸としたコロナ対策が進められていて、日本とは違った角度からの「感染拡大の封じ込み」を狙っています。
日本でもこれ以上感染者が増え続けるようなら、海外の国と同じように強制力のある外出規制が掛かるかもしれません。
そういったことも踏まえた上で、日頃から自衛の意識を保つようにしましょう。
総括
海外における新型コロナウイルスの感染状況とロックダウン対策について解説してきました。
ご覧いただいたようにアメリカやヨーロッパの主要各国では感染者の数が非常に増えています。
そして、その数を抑えるために長期的なロックダウンをおこなっている国も少なくありません。
日本でもまた緊急事態宣言が再発令される可能性がありますので、ぜひこうした世界各国の例をもとに日々の過ごし方を考えてみてください。