いまだに収束のめどが立たないコロナウイルスの感染拡大状況ですが、こうした時代になったからこそ気になるのが「自分が陽性か陰性か」という点です。
コロナウイルスに罹っているかどうかを調べるには抗体検査もしくはredPCR検査を受けるしかありません。
しかし、どこでその抗体検査やPCR検査を受ければいいのか?という疑問を持っている人も多いはずです。
そこで、この記事ではコロナウイルスの検査方法や検査が受けられる場所・条件などについて詳しくご紹介していきます。
体調不良が続く方やコロナウイルス感染の疑いがある、または夜の街などに出向いた経験から不安感があるという方は参考としてご覧になっていってください。
また、合わせて個人による検査キットの使用可否についても触れていますので、そちらもチェックしてもらえればと思います。
コロナウイルスの検査には抗体検査とPCR検査の2種類がある
自分がコロナウイルスに罹っているかどうかを調べるためには、抗体検査もしくはPCR検査というものを受ける必要があります。
「ニュースでよく聞いたことがある」という方も多いと思いますが、実際にこの2つの検査方法がどういったものなのか、またどういう違いあるのかを知っておくことも大切です。
そこで、まずは抗体検査とPCR検査の内容や特徴について知っていきましょう。
抗体検査とは?
抗体検査というのは、簡単に言いますと「自分の身体の中にコロナウイルスに対する抗体が出来ているかどうか」を調べる検査方法のことです。
人間の身体は、これまでに侵入してきたことがないウイルスが入ってくると、そのウイルスに対抗しようと「抗体(タンパク質)」を作り出すようになっています。
抗体はウイルスと結合することで体外へ排出されるようになっているのですが、この抗体の有無によって「感染経験」があるかどうかを調べるというのが抗体検査の役割です。
なお、この抗体が作りだされ、検査をして検出されるくらいの量になるまでには「感染から数日~数か月かかる」と言われています。
そのため、たとえば検査を受ける前日にコロナウイルス感染者と会食などをしていたとして、「自分も感染したのでは…」と不安になり、翌日すぐに抗体検査をしてもあまり意味がないということになります。
また、抗体検査はその検査結果の精度がPCR検査より劣ることが否めません。
抗体検査は数滴の血液(主に指先から微量の血液を採取する)から検査をおこなうことが一般的ですが、ウイルスが一定以上に増殖していないと陽性として判断されることが少なく、偽陰性を生みだす可能性が高いとされています。
高熱が続く、味覚・嗅覚に異常があるなどコロナウイルスの症状が顕著に見られる場合は、抗体検査で偽陰性が出たとしてもPCR検査に移行することがありますが、無症状の場合は偽陰性のまま検査が終わることもあるわけです。
こうなると自分はコロナウイルスに罹っていないと判断して外を出歩く人が増えてしまい、さらに市中感染が広がる恐れがあります。
そのため、いまのところ国や自治体がメインとなっておこなう抗体検査は、人数を限定して進めているということです。
ただし、もちろん抗体検査にはデメリットばかりでなくメリットもあります。
- 結果が分かるまでに30分程度で済む
- 特別な検査機器や試薬を必要としない
などがそのメリットに挙げられ、さらに検体をいちいち搬送する必要がないため輸送時間の短縮が可能です。
こうしたことから現在では各企業において抗体検査キットを使用し、社員に対して検査を実施するところもあります。
参考:PRタイムス
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000019.000058530.html
参考:東京商工会議所HP
https://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=1022514
もちろんこうした企業独自の検査を実施する際には、医療的専門家の指示に従うことや医療機関を利用することが必要です。
そして、その結果が陰性だったとしても引き続き感染リスクを抑える行動は求められています。
ここまでが抗体検査に関する基本的な知識ですが、次に抗体検査よりも優れていると言われるPCR検査について見ていきましょう。
PCR検査とは?
PCRというのは「polymerase chain reaction(ポリメラーゼ連鎖反応)」の略称です。
PCR検査は、このポリメラーゼという遺伝子の一部を検査することで感染の陽性・陰性を判断する検査となっています。
簡単に言いますとポリメラーゼはDNAなどを構成する酵素のことで、人間がウイルスに感染するとこのポリメラーゼに「ウイルスに感染した」という情報が加えられるのですが、その情報を読み取る検査がPCR検査というわけです。
PCR検査は鼻の奥の粘膜や唾液を採取し、特殊な薬品につけることで結果が分かるようになっています。
そのため、医療機関で受ける必要があり、抗体検査よりも長い時間を要するというのが特徴のひとつです。
また、結果が分かるまでの時間も数日かかるため、その分コロナウイルス感染の疑いがある人は拘束される時間が長くなります。
しかし、長い時間を使ったとしても陽性・陰性の結果がハッキリと分かるため、現在のところ国ではこのPCR検査を有効な検査方法として推奨しています。
ただし、PCR検査も完璧な検査方法というわけではありません。
というのも、PCR検査の陰性判定精度というのは99%以上とされているのですが、残りの1%弱には「偽陽性」が出てしまう可能性があるのです。
この場合、たとえば国民全員にPCR検査をおこなったとすると「1億人の1%=100万人」に対して偽陽性が出てしまうことになります。
全国で確保しているコロナウイルス感染者用の病床には限りがあり、その数をはるかに上回る100万人を収容することは現実的に考えて不可能です。
こうした理由もあり、国はPCR検査の実施数を抑えていると考えられています。
抗体検査は誰でもできる?
次に、抗体検査とPCR検査の特徴やデメリットを理解した上で、ひとまず抗体検査を受けたい場合は誰でも出来るのか?という疑問を解消していきたいと思います。
答えから先に申し上げますと、現在のところ民間の医療機関でも抗体検査は実施しています。
たとえば東京や大阪といった都市部では予約制で抗体検査を引き受けている医療機関もありますので、自分の陽性・陰性が気になる方はそういった医療機関を受診してみてください。
参考:銀座しまだ内科クリニック
https://w-naika.com/covid.html
ただし、どの医療機関でも
- 発熱が続いている
- 味覚・嗅覚の異常がある
- 2週間~1か月以内に海外渡航歴がある
といった方の受診はおこなっていません。
こうした症状が出ている方は各自治体のコロナ対策相談窓口を利用するよう勧められているので、その旨だけ理解しておいてください。
あくまで民間の医療機関で抗体検査が受けられるのは無症状の個人であり、ほかには企業における従業員の体調管理(感染状況確認)のためとなっています。
しかし、こうした医療機関が近くにない場合はどうすればいいのか?という方もいらっしゃるはずです。
そこで、次にコロナウイルスの検査を受ける公的な場所についてご紹介していきたいと思います。
コロナウイルスの検査を受けるには公的な相談窓口を利用する
現在、コロナウイルスの抗体検査が受けられる民間の医療機関は増えてきていますが、まだまだ全国的に普及しているとは言えません。
都市部以外の地方にお住まいの方は、近くの医療機関や大学病院で検査を受けたいと思っても診察を受け付けていないところが大半です。
そのため多くの場合は、自分がコロナウイルスに罹っているかどうかを調べるために公的なコロナ相談窓口を利用することになります。
コロナ相談窓口を利用して抗体検査・PCR検査を受ける方法
すべての都道府県には新型コロナウイルスに対する相談窓口が設置されています。
各都道府県のコロナ相談窓口の連絡先は厚生労働省のホームページから確認が可能です。
参考:厚生労働省HP
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19-kikokusyasessyokusya.html
検査を受けるためにはこちらのコロナ相談窓口に連絡をして、必要がある場合のみ抗体検査やPCR検査をおこなうことになっています。
ちなみに検査が必要と判断される方の目安は以下の通りです。
「コロナ相談窓口での検査実施目安」
- 呼吸がしづらい、息苦しいなどの呼吸器障害が出ている方
- 強い倦怠感を覚える方
- 高熱の症状が続く方
- 重症化しやすい高齢者や基礎疾患がある方の中で、軽度からの症状が出ている方(発熱や咳、高熱)
- 風邪症状が長く続いている方
こうした症状があれば抗体検査、場合によってはPCR検査を受けることになりますので、心配な方はまずコロナ相談窓口に連絡をしてみましょう。
なお、これまでに身近な方がコロナウイルスに感染をした経験がある方の場合は、すぐに連絡をしてください。
自分自身が無症状でもコロナウイルスを保有している可能性があります。
次に、検査を希望する方の中には「コロナウイルス陽性と判断されたらどうなるのか」という不安を持つ人もいると思いますので、検査後の流れもご紹介しておきましょう。
コロナウイルス検査を受けたあとの流れ
公的なコロナ相談窓口を利用して検査を受けた結果、陰性と判断された場合はそのまま元の生活に戻ることが可能です。
しかし、仮に抗体検査・PCR検査で陽性と判断された場合は、程度によって措置が分かれることになっています。
軽度の場合は自宅療養もしくは都道府県が用意するホテルなどで宿泊療養をおこなうことになり、重度の場合はすぐに専門医療施設へと送られることになります。
この判断は各自治体によって異なるため、コロナ相談窓口にて確認をしてください。
ただし、基本的には「コロナウイルス陽性」と出た場合、その後2週間に渡って治療・外出制限がおこなわれます。
そして治療の経過を診ながら「2回のPCR検査で陰性」とならない限り、その制限は解除されません。
そのため、人によっては2週間以上の入院が必要となるケースもあるので、家族や職場の方にはその旨を伝えておくようにしましょう。
個人で抗体検査キットを使って判断することはできる?
「コロナ相談窓口に連絡をしても、検査の必要性がないと判断されて検査が受けられない」
「そのためとても不安に感じている」
現在、全国の検査数状況を見ると上記のような方も多いと思います。
そして、その中には「個人で検査キットを買うことは出来るのか?」と考える人も少なくないでしょう。
そんな方のために、いまはすでに個人向けの抗体検査キットというものが販売されています。
ちなみに、販売されている個人用検査キットの値段はだいたい5,000円~6,000円程度です。
これは個人で抗体検査を受ける診療費用とほぼ同じ価格帯となっています。
もちろん個人での検査は、医療機関でおこなう検査よりも精度が劣ることが多いということを把握した上で使用してください。
また、長引く風邪症状がある場合などは、こうした抗体検査キットを使わずに公的な医療機関を受診することが勧められていますので、そちらもぜひ理解しておきましょう。
個人でPCR検査をすることは可能?
抗体検査だけでなく、PCR検査も個人でおこないたいという人もいるかもしれませんが、個人でのPCR検査は推奨されていません。
現在、ネット上では海外製のPCR検査キットが販売されていることがあります。
しかし、検査精度に問題があるものも多く、日本では公的な形で認められていません。
そのため、個人でPCR検査をしたいのであれば、PCR検査を実施している医療機関を受けるようにしましょう。
最近では、数は少ないものの町の医療機関やクリニックでもPCR検査を実施しているところがあります。
費用に関しては保険が適用されるため、だいたい5,000円~6,000円といったところです。
抗体検査とあまり変わらない値段ですので、経済的な負担はあまり大きくないと言えるでしょう。
ただし、クリニックなどでPCR検査を実施しているところの大半は都市部にありますので、検査を受けに行くこと自体がリスクのある行為ということを認識しておいてください。
総括
抗体検査とPCR検査という、コロナウイルスに対して有効な検査方法を2種類ご紹介してきました。
最近はクリニックなどで両方の検査を受けられるようになってきていますが、まだその数は十分ではありません。
また、どちらもメリットとデメリットがあり、その検査結果には一定数の誤判断が出るということを理解しておくようにしましょう。
なお、個人で検査キットを使用することには問題点もたくさんありますので、検査を受けたいのであれば出来る限り医療機関を受診するようにしてください。