「GoToイート」キャンペーンとは、新型コロナウイルスの影響によって落ち込んでいる外食産業および食材を提供する農林漁業者の消費活動を支援する目的でおこなわれる政府主導の事業です。
ここでは、そんな「GoToイート」キャンペーンに関する情報(内容や開始される時期)をご紹介しながら、実際に消費者や事業者が利用する上でのメリットや注意点をご紹介していきます。
なお、こちらでご紹介する情報はすべて「GoToイート」キャンペーンを管理する農林水産省のホームページで公開されているデータを基に記載しています。
ただし、GoToイートキャンペーンについては現段階(2020年7月下旬)でまだ決まっていない部分も多いため、利用する場合は必ず最新の情報をチェックしてください。
参考:農林水産省HP
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gaisyoku/hoseigoto.html
GoToイートとは?開始時期は8月下旬?
GoToイートキャンペーンとは、新型コロナウイルスの影響で落ち込んでいる国内の消費活動を促進させる目的でおこなわれるものです。
ちなみに「GoToイート」は「GoToキャンペーン」という大きな枠組みの中のひとつで、ほかにもいくつかのキャンペーンがおこなわれます。
【GoToキャンペーンの概要】
- GoToイート
- GoToトラベル
- GoToイベント
- GoTo商店街
GoToイートキャンペーンは身近な飲食店で利用ができるため、GoToトラベルキャンペーンのように長距離の移動が必要ありません。
そのため、大勢の方が利用する公共交通機関を利用せずともお得な割引が得られるところがありがたい部分です。
そんなGoToイートキャンペーンについて、まずは基本的な情報や開始時期についてご紹介していきましょう。
GoToイートの基本情報
GoToイートは
- 「25%が上乗せされた食事券の発行」
- 「飲食店利用で付与される上限なしのポイント」
という2つのキャンペーンを主軸とした支援策です。
「25%が上乗せされた食事券の発行」について
まずは「25%が上乗せされた食事券」というものからその内容・条件をご覧ください。
【食事券(給付金767億円)】
- GoToイート対象登録店で利用可能な食事券を発行する
- 食事券は各自治体によって発行され、発行された地域のみで使えるものとする
- 食事券の内容は一例として「10,000円で食事券を購入した場合、12,500円分までの食事に利用ができる」といった形をとる
- 食事券を発行できるのは公募によって決まった事業者のみ
- ひとりが購入できる上限は2万円分まで(10,000円の食事券であれば2セットまでとなる)
- 食事券が購入できるのは2021年1月末まで、有効期限は2021年3月末とする
- なお、食事券を利用した場合にはおつりの返却はないものとする
こちらが農林水産省のホームページにて公式に発表されている「25%が上乗せされた食事券」の内容です。
簡単に言えば「普通に食事をして料金を支払うより、前もって食事券を購入しておいた方が2,500円(最大で5,000円)お得」ということになります。
つまりひとりにつき5,000円が給付されるのと同じ感覚と言えるでしょう。
ちなみに農林水産省のホームページを見てみると、この食事券を購入できるのは地域の販売窓口(現段階では詳細な場所は未定)となっていて、制限は「ひとり2セットまで」としか書かれていません。
そのため、たとえば親子4人の世帯で子供が販売窓口に行けるような年齢であれば、最大で2万円(1人5,000円×4人分)の給付が受けられるということも考えられます。
ただし、この制限に関しては後から変更になる可能性もありますので参考程度にとどめておいてください。
(先だっておこなわれたGoToトラベルキャンペーンでは東京都の除外、キャンセル料の問題など、あとになってから変更される点が多々あったため)
「飲食店利用で付与される上限なしのポイント」について
次に「飲食店利用で付与される上限なしのポイント」についてその内容をご紹介していきます。
【オンライン飲食予約によるポイント給付(給付金767億円)】
- ポイントは農林水産省が選定したオンライン予約事業者を経由して飲食店を予約・利用した場合に付与される
(なお、予約だけではポイントが付与されない仕組みになると想定される) - 付与されるポイントの上限は昼間の時間帯利用で500ポイント、夜間の時間帯利用で1000ポイントとなる
- なお、幹事などが複数人の予約をする際には、最大10人分(10000ポイント)を上限とする
- ポイントが利用できるのは次回以降の飲食代金に対してとする
- ポイントが付与されるのは2021年1月末まで、有効期限は2021年3月末とする
※1人が貯められるポイントについて、その上限は今のところ発表されていない
こちらがGoToイートにおける2つ目のキャンペーン内容です。
正直、今の段階ではまだまだ未定な部分が多いと感じられますが、簡単に言えば国が主導でおこなうキャッシュバックキャンペーンのようなものと言えます。
なお、これから確かめていきたい部分としては「ポイントが付与される際の食事代金との割合」「1回で利用できるポイントの上限額」といったところですが、こうした点については後ほどの「消費者がGoToイートを利用する上での注意点」で解説しますのでご覧になってください。
GoToイートの開始時期について(8月下旬ごろから順次開始予定)
次にGoToイートキャンペーンが開始される時期についてですが、こちらは今のところ8月下旬ごろ開始を目安としています。
ただし、基本的には各自治体で準備が整ったところから順次開始していく方針としていますので、詳細な日程は未定ということです。
なお、実際にGoToイートキャンペーンをおこなうためには事業者の選定が必要不可欠なのですが、この事業者選定のスケジュールは下記のようになっています。
- 7月21日~8月7日まで事業者の公募をおこなう
- 8月下旬に選定した事業者と契約
- 準備が整った自治体から開始
- ただし最終的には新型コロナウイルス感染症対策分科会の判断を踏まえた上で実施を進める
このスケジュールを見る限り、現実的には多くの自治体でGoToイートキャンペーンが開始されるのは8月下旬よりも後になるということが推測されます。
そのため、飲食店を経営されている方などは安易に「8月下旬からキャンペーン需要が高まる」などと考えず、慎重に営業方針を決めていくことが重要と言えるでしょう。
GoToイートの仕組みについて
GoToイートには消費者が前もって食事券を購入する・飲食店を予約することによって消費が落ち込んだ外食産業・農林漁業者を手助けするという役割があります。
ただし、GoToイートキャンペーンに登録するのはあくまで公募されている事業者であって、各飲食店や農林漁業者ではありません。
GoToイートの仕組みは農林水産省が各公募事業者に対して業務を委託し、その委託先の事業者が消費者に対して外食利用を勧め、その利用代金が飲食店や農林漁業者に還元されるというサイクルになっています。
つまり、この仕組みから考えると期間中に利用がされなかった飲食店などはGoToイートキャンペーンの恩恵に預かれないことになるわけです。
そのため、どの飲食店に対しても平等に利益が還元されるキャンペーンではないということを外食産業・農林漁業者の方は理解しておきましょう。
GoToイートで農林水産省が公募している事業者について
次にGoToイートキャンペーンにおいて農林水産省が公募している事業者について解説していきます。
現段階で公募がされているのは下記の4つの業者です。
- 食事券発行業者
- オンライン飲食予約サイト事業者
- 実績確認事業者
- キャンペーン参加支援事業者
なお、事業者の選定は企画競争入札によっておこなわれますが、事業に掛かるコスト面も評価対象になるとのことです。
ここまでがGoToイートキャンペーンの概要となりますが、次に消費者や飲食店の方が実際にこのキャンペーンを利用する上で知っておきたい情報についてご紹介していきます。
先だっておこなわれたGoToトラベルキャンペーンでは問題が続出し、キャンセル料の補償など様々なトラブルが発生していますので、あらかじめ考えられる問題点などを理解しておくことが大切です。
GoToイートについて(消費者向け)の情報
まずはGoToイートキャンペーンが実施される中、消費者側が知っておくべきメリットや注意点をご覧ください。
消費者がGoToイートを利用するメリット
GoToイートキャンペーンがおこなわれる上で、一般消費者にとって最大のメリットとなるのは「誰でも最大5,000円分の外食費用が貰える」という点です。
あらかじめ発行される食事券を上限(1人2セット)まで購入すれば、必ず5,000円分のプラスになるというのは非常に魅力的なことと言えます。
(ただしおつりは計算に入れないものとする)
また、会社における会食や飲み会を取り仕切る幹事の方に関しても、予約・利用するごとにポイントが貯まるのでありがたいキャンペーンと言えるでしょう。
ただし、こうしたGoToイートキャンペーンを利用する際にはあらかじめ知っておいた方がいい注意点というのもあります。
消費者がGoToイートを利用する上での注意点
GoToイートキャンペーンを利用する上での注意点ですが、これには先ほども軽く触れた
- 「ポイントが付与される際の食事代金との割合」
- 「1回で利用できるポイントの上限額」
という2点が挙げられます。
現段階ではオンライン飲食店予約・利用をして付与されるポイントについて、その還元される割合というのが発表されていません。
つまり、利用代金100円につき1ポイントなのか、それとも1000円につき1ポイントなのか、はたまた1円につき1ポイントが還元されるのか分かっていないということです。
また、貯めたポイントを1回でいくら分まで支払えるのか?という上限も発表されていないので、こうした点については詳しく決まってから利用するようにしましょう。
あとは食事券に関しても使えるお店と使えないお店が出てくることが予想されますので、その地域で食事券が使えるお店を把握しておくということも重要です。
さらに、たとえば「当店は食事券対象店舗です」と書かれていても、実際に利用した際に「食事券が利用できるのはこの商品(料理・コース)、それ以外は対象外となっています」といったことが発生することもあり得るでしょう。
こうしたことに関して、まだGoToイートキャンペーンを管理する農林水産省のホームページには詳細が記載されていない状態です。
そのため、食事券を購入するときは「飲食店での決まり事やルールなどがしっかりと構築されているかどうかチェックしてからにする」とした方が、あとになってからトラブルにならないかと思います。
GoToイートについて(飲食店向け)の情報
続いてGoToイートキャンペーンに対する飲食店側の情報も見ておきましょう。
なお、飲食店がGoToイートキャンペーンに参加するためには、各自治体や業界のガイドラインに沿った感染症予防・対策をおこなっているかどうかがチェックされます。
また、公募によって選定されるオンライン飲食店予約事業者に登録していないと参加が出来ませんので、その点も理解しておいてください。
飲食店がGoToイートを利用するメリット
飲食店がGoToイートを利用するメリットは、単純に売り上げ増加に繋がるという点です。
コロナウイルスの影響で売り上げが落ち込んだ店舗からすると、このオンライン飲食店予約サービスによって顧客が戻ってくることを期待しているお店も多いことでしょう。
また、普段は外食をしない方でも「食事券を購入したから、いつも行かないお店に行ってみよう」と考える人も少なくないはずです。
こうしたことをきっかけに新規顧客を獲得するチャンスにも恵まれるかと思います。
飲食店がGoToイートに登録する際の注意点
飲食店がGoToイートキャンペーンに登録する際には「感染症対策をガイドラインに沿っておこなっているか」という点をチェックされると発表されていますが、この基準に関してはいまだ詳細な情報が出ていません。
そのため、場合によっては登録ができない可能性もあります。
また、オンラインでの予約に対応していないような小規模な店舗は、おそらくこのキャンペーンの恩恵に預かれないことが予想されます。
オンライン予約に対応できないのであれば、せめて食事券が利用可能な飲食店として登録するしかありませんので、あらかじめその基準について各自治体に問い合わせするようにしましょう。
ちなみに食事券で支払われた利用代金が、実際に「いつ現金になって返ってくるのか?」というのもキャッシュフロー上とても大きな部分です。
たとえば極端な話ですが、「1ヶ月で100万円分の売り上げが食事券によって賄われたが、振込が半年後になる」とすれば経営が立ちいかなくなるお店も多いと思います
この点に関しても農林水産省のホームページには記載がありませんので、登録する際には事前の確認をおこなっておいてください。
総括
GoToイートキャンペーンの基本的な内容や開始時期、利用する上でのメリットや注意点をご紹介してきました。
GoToイートキャンペーンは正しく利用できれば消費者にとっても飲食店にとっても素晴らしい支援策になると思います。
しかし、現実的には本文で触れたような問題や疑問点もあるので、利用・登録する際にはぜひしっかりとその内容をチェックしてからにしましょう。