2020年12月現在、コロナウイルスで閉店、倒産した店舗はどれくらいなのか?まとめてみた

この記事では、新型コロナウイルスの影響によって経済が冷え込む中、これまでにいったいどれくらいのお店や企業が閉店・倒産してきたのか?ということについてまとめています。

コロナ禍においては常に「経済か、それとも人命か?」といった議論が繰り広げられてきました。

そんな中、政府は経済を回すことを優先に考えGOTOトラベルやGOTOイートキャンペーンなどを決定。

一時期は国民も旅行や外食を楽しむようになっていましたが、11月からの爆発的感染拡大を受けてまた以前同様に消費が落ち込んできています。

消費が落ち込めばお店や企業は潰れていくわけですが、そういった報告はこれまでにどれくらいあるのか?ということをぜひご覧になっていってください。

2020年12月現在におけるコロナ閉店・倒産はどれくらい?

それではまず、これまでに確認されている新型コロナウイルス関連の閉店・倒産情報を見ていきます。

なお、この記事に記載している閉店・倒産件数などは帝国データバンク、東京商工リサーチといった信用調査会社のデータを基にしていますのであらかじめご了承ください。

11月までにおける飲食店のコロナ閉店・倒産は736件と過去最多

新型コロナウイルスの影響によってもっともダメージを受けた業種と言えばやはり「飲食業」です。

そんな飲食業におけるコロナ関連の閉店・倒産は過去最多となる736件でした。

これは11月までのデータですので、12月いっぱいまでを考えるとさらにその数を増やすことが予想されます。

なお、こうしたデータというのは比較対象がないと分かりづらく、その数が多いのか少ないのかも判断しづらいので、ここ数年のデータと照らし合わせてみましょう。

飲食店の閉店・倒産件数
2017年 707件
2018年 653件
2019年 732件
2020年 736件(11か月分)

ご覧のようにここ数年で考えても2020年の飲食店倒産件数というのは多いように感じらます。

ちなみに過去10年間における飲食店の年間平均倒産件数は「647.8件」となっていますので、この平均を考えるとおよそ100件近く増えているといったことが分かります。

こちらは帝国データバンクが発表していたデータですが、試算によると2020年の飲食店倒産件数は「796件」にまで増えると予想されています。

この計算通りにいけば平均値より150件以上多い倒産件数となりますので、いかに新型コロナウイルスが飲食業に大きなダメージを与えたかが分かるはずです。

また、この帝国データバンクが発表する年間の予想倒産件数は2020年上半期の倒産件数である「398件」を単純に倍にしただけなのですが、実際に11月までの間に736件が閉店・倒産していることを考えると「796件」という数字に信憑性が増してきます。

ということで、次は閉店・倒産した飲食店の業態別の調査を見ていきましょう。

閉店・倒産が多いのは居酒屋や中華料理などの飲食店

11月までの間に700件以上のお店が潰れている飲食業界ですが、もっともダメージを受けているのは居酒屋業態のお店です。

上半期だけを見てもすでに100件以上の居酒屋が閉店・倒産に追い込まれているのですが、2019年では年間で161件の閉店・倒産件数なので単純に比較をしてもそのペースが早いことが分かります。

そして次に被害が大きいのが中華料理やエスニック系のお店です。

こちらは上半期だけで55件のお店が閉店していますが、そこには売り上げ不足以外の問題もあるようです。

というのも、中華料理やエスニック系のお店だと従業員が中国人や東南アジア人であることが多く、また個人経営系のお店だと自国の人たちが集まることで売り上げが賄われていたところも少なくありません。

こういったお店の場合、新型コロナウイルスの影響で従業員や固定の客層が自国へと帰ってしまうといつも通りの営業をおこなうことが難しくなるというわけです。

つまり

  • お店を経営するための人手がない
  • お店を支えるための顧客もいない

といった状況から閉店を選ぶところもあったということになります。

なお、このほかで例年より閉店・倒産件数が伸びそうな業態には「フレンチやイタリアンなどの西洋料理系」「寿司や天ぷら、すき焼き屋などの日本料理屋」「バー」が挙げられています。

意外とキャバクラなど接待を伴うお店の閉店・倒産件数が少ないのですが、おそらくこれは店名を変えたりオーナーを変えたりして延命をしている、もしくは潰れたとしても気付かれない規模のお店が多いといった理由があるかと思います。

ちなみにフレンチやイタリアン、そして日本料理屋などの業態では老舗と呼ばれるお店の閉店も珍しくありません。

歴史あるお店でも新型コロナウイルスの影響で閉店せざるをえない状況に追い込まれているわけですが、その点に関する実例をいくつか見ていってみましょう。

老舗や有名なお店の閉店・倒産も相次ぐ

ここでは閉店した老舗・有名飲食店を時系列ごとにいくつかピックアップしてご紹介していきます。

まずは東京有楽町~丸の内にあったビアレストランの「レバンテ」からです。

レバンテは戦後間もない1947年に創業した老舗で、一度は土地開発の影響によって有楽町駅前から東京国際フォーラム内に移転しながらも70年以上営業を続けていました。

2013年時点では売り上げ1億円超えを果たすほどの人気店でしたが、ここ数年の間はあまり売り上げが芳しくなく、それに追い打ちをかける形で新型コロナウイルスの影響を受け2020年3月に閉店を決めています。

なお、3月に閉店をしたレバンテは都内において3番目の「コロナ関連倒産」としてニュースにもなりました。

そして、次は首都圏で6店舗を展開していた「東京美々卯」の倒産情報です。

東京美々卯はうどんすきなどの名物料理で人気を呼んでいたお店で、もともとは大阪の美々卯からのれん分けする形で派生した飲食企業です。

東京だけでなく神奈川や千葉などにも店舗を持っていた東京美々卯でしたが、2020年5月にすべての店舗を閉店し会社自体も解散をしています。

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なお、こうした大きな規模の老舗が閉店するほど新型コロナウイルスの影響は大きいわけですが、そうなると当然小さなお店も続々と潰れていくことになります。

そのひとつが神宮球場で長年営業を続けてきた「水明亭」です。

水明亭は神宮球場内の通路に並ぶ飲食店のひとつで、発祥は1964年に開催された東京オリンピックの時代にまで遡ります。

神宮球場に訪れる方からするとなじみ深い名店でしたが、お店として2度目のオリンピックを迎えることなく12月に閉店をしました。

最後の営業日は神宮球場を本拠地とするヤクルト球団のファン感謝デーとなり、その日は多くのファンがお店に押し寄せたそうです。

このように規模が小さなお店の中にも歴史のあるところはたくさんありますが、新型コロナウイルスの感染が拡大している昨今では外出自粛などの影響によって閉店へと追い込まれるケースも珍しくありません。

色々なデータから見るコロナ閉店・倒産の現状

ここからは、色々なデータから見るコロナ関連の倒産情報をご紹介していきます。

どのエリアで閉店・倒産が多いのか?どういった業種の店が潰れていっているのか?といったことをご覧になっていってください。

地域別では東京や大阪などコロナ感染拡大地域で閉店や倒産が多い

飲食業界の中でも特に閉店・倒産が多い「居酒屋業態」のお店で見てみると、やはり東京や大阪といったコロナ感染拡大地域で潰れるお店が増えているようです。

こちらは帝国データバンクが公開する地域別の倒産件数データですが、ご覧のように東京がもっとも多く、その次に大阪・愛知と続いていることが分かります。

この結果に「時短営業」「外出自粛」が絡んでいることは間違いないでしょう。

特に都市部では4月から5月ごろにかけて「営業時間は20時まで」といったかなり厳しい要請が出され、その後もたびたび「22時まで」といった時短営業の要請がおこなわれています。

いくら多少の補償が出るとは言え、それだけでは経営を持続できなくなるお店が増えてしまいます。

また、日々の新型コロナウイルス新規感染者数というのも客足には大きな影響を与えていて、感染者数が増えている時期には来店する客の数が減るといった公式も出来上がりつつあるようです。

負債額別では1000万円~5000万円といった小規模倒産が多い

次に倒産した居酒屋の負債額に関するデータを見ていきます。

こちらの表をご覧いただくと分かりますが、潰れた居酒屋業態のお店の負債額はだいたい「1000万円~5000万円」のところに固まっています。

つまり小規模倒産が多いということです。

なお、1000万円~5000万円ほどの負債で倒産したお店の割合は全体の8割を占めるので、このデータからは「資金的な体力がなくなったお店から順番に潰れていく」ということが分かります。

ただし、中には1億円~10億円規模の負債額を発生させているところも確認できるので、今後は大手チェーン系の居酒屋企業が倒産する可能性も十分あります。

特に人が密になりやすい居酒屋業態はコロナ感染の温床ともされていますが、ハッキリ言ってお店側がいくら対策をしてもお客さん同士の感染というのは防ぎようがありません。

その居酒屋で感染者が出れば当然保健所の調査が入り、一定期間お店を閉めなければいけないので「営業をしていてもリスクがある」というのが現状です。

おそらくこのまま年末年始など営業を続けていれば、今後は大手居酒屋チェーン店などでも大規模なクラスターが発生するでしょう。

そうなるとより多くの店舗が閉まり、倒産に追い込まれる企業も出てくるかと思います。

業種別で見るコロナ倒産の現状

続いて業種別からもコロナ倒産の現状を見ていきましょう。

こちらは12月までに倒産した企業件数となりますが、1位はもちろん飲食店でその次に「ホテル・旅館」といった宿泊施設がランクインしています。

やはり外出自粛や都道府県を越えての移動が制限されていたこともあり、観光業へのダメージは非常に深刻です。

ちなみにこうしたことも含めて政府はGOTOトラベルやGOTOイートをおこなったわけですが、結果としてはすべてが裏目に出てただ感染者を増やすだけとなりました。

4月~5月の段階で人の動きを抑え経済を全面的にストップさせ、感染者を完全になくした状態のあとにキャンペーンをおこなえばこうした結果にもならなかったでしょう。

なお、3位に建設業がランクインしていますが、これはイベント設営などの仕事がすべてなくなったことが原因と考えられます。

各種コンサート会場やスポーツ会場での設営業務がなくなれば施工業者は経営をしていけません。

倒産した業種のデータを見れば、こうしたところにも新型コロナウイルスの影響があることが分かるわけです。

今後コロナによる閉店・倒産はどれくらい増える?

最後に今後コロナによる閉店・倒産はどれくらい増えるのか?という部分について解説をしていきます。

飲食店は壊滅的、旅行業者も厳しい状態が続く

今後は引き続き飲食業における閉店・倒産が相次ぐと各所で予想されていますが、おそらく12月を過ぎた段階で閉店を決めるお店が爆発的に増えるかと思います。

というのも例年であれば12月は売り上げがもっとも高い時期です。

しかし、現在のところ多くの都市部では時短営業要請が出ています。

東京都でも時短営業要請の延長が決まるかと思いますが、そうなれば本来見込んでいた売り上げに届かないお店が確実に増えるわけです。

12月で売り上げの巻き返しを図りたい飲食店からすると、これはかなりのマイナスとなります。

そのため、12月の最終結果を見て1月あたりに閉店を決めるお店が増えてもおかしくはありません。

また、12月を乗り切れても感染者の数が減らなければ、例年売り上げの落ちる2月で耐え切れなくなるところも増えるでしょう。

飲食業以外ではやはり旅行業者もかなり厳しい立場にあると言えます。

海外旅行商品が売れない旅行業者は国内旅行商品に頼るしかありません。

しかし、現状のようにたびたびGOTOトラベルの一時停止などが発表されれば当然その国内旅行商品も売れなくなるわけです。

そうなると旅行業者・宿泊施設へのダメージはさらに大きくなります。

こうしたことから小さな旅行業者は軒並み潰れていくことが予想されるわけです。

実際に先ほどのデータを見ても12月までの間に「9件」の旅行代理業者が潰れていますので、今後はさらにその数を伸ばしていくことでしょう。

東京オリンピックの開催可否も大きな影響を与える

東京だけに限った話をすると、オリンピックの開催可否によっても閉店・倒産に追い込まれるところが増えると予想されます。

ちなみに今の状況で考えるとオリンピックが開催される可能性はかなり低いと言えるでしょう。

日本人はワクチンの接種時期も決まっていませんし、感染者の数も抑え込めていません。

この状態で海外から人を呼べば感染者が激増、その結果として医療崩壊すること間違いなしです。

こうしたことから高い確率でのオリンピック中止が予想されますが、そうなると会場設営を担当することになっていた建設業者・イベント業者などにしわ寄せが来ます。

もちろん単純にオリンピック特需を期待していた関連事業者も経営が厳しくなると思いますので、2021年は大幅に倒産・失業者数が増えるかもしれません。

総括

2020年12月までに発生したコロナ関連の閉店・倒産情報をご紹介してきました。

ご覧いただいたように、2020年は例年より多くのお店や企業の閉店・倒産が報告されています。

今後はさらにその数が増えるかと思いますが、そうなると今よりも経済が冷え込むと予想されますので事態は非常に深刻です。

経済を回復させるためにはまず感染者を抑えることが第一ですので、ぜひこれまで以上に感染予防を徹底しておこなっていきましょう。