新型コロナウイルスの影響によって様々な分野で新しい言葉が誕生していますが、中でも早くから使われるようになっていたのが「3密」です。
この記事では3つの密を防ぐために生まれた「3密」という言葉の内容や具体的な対策方法などをご紹介していきたいと思います。
すでに「3密」の内容を理解している方も多いはずですが、あらためて認識を深めることでコロナ感染予防対策に役立つはずですので、ぜひ参考にしていってください。
「3密」とは何か?
ニュースなどでもよく耳にするようになった「3密」ですが、その具体的な内容をもう一度よく理解するために詳しく解説をおこなっていきます。
コロナ集団感染を防ぐために厚生労働省が掲げる標語「3密」
「3密」は新型コロナウイルスの集団感染を防ぐために生まれた標語です。
厚生労働省や内閣総理官邸の役人たちが考えたものであり、「3密」は非常事態宣言が出される前から発信されていました。
なお、2020年3月1日に公表された国の感染予防ガイドラインに大元となる言葉が掲載されているのですが、当時は
- 「換気が悪く、人が密に集まって過ごすような空間、不特定多数の人が接触するおそれが高い場所を避ける」
といった形で注意を呼び掛けています。
この言葉をブラッシュアップしていった結果「密閉・密集・密接を避ける(3密)」という標語が誕生したわけです。
ちなみに「3密」が公式的に使われるようになったのは、内閣総理官邸のツイッターが
外出する際には「換気の悪い密閉空間」「多数が集まる密集場所」「間近で会話や発声をする密接場面」を避けるようにしましょう
といった形で発信したことがきっかけとなっています。
そして、この内容を要約して「NO!!3密 3つの密を避けて行動を」と掲げたのが小池東京都知事です。
2020年3月25日におこなわれた東京都の会見で「3密」という言葉が使われたことによって一般的にも浸透していき、段々と定着するようになっていきました。
「3密」の定義は「密閉・密集・密接」
日本における「3密」の定義は、「密閉・密集・密接」の3つを避けるということになっています。
ご覧のように厚生労働省のホームページにも公式の言葉として「三密」と書かれていますが、表記の仕方としては「三密・3密・3つの密」など色々な形があります。
「3密」を回避することは新型コロナウイルスの集団感染を予防することになり、感染拡大を防ぐことにも繋がります。
そのため、ウイルスの感染力が強まると予想される冬の時期においては、より一層この「3密」を意識することが大切です。
「3密」の回避が守られなかった結果が「GOTOキャンペーン」の見直し・一時停止
「3密」を回避することは新型コロナウイルスの感染を予防するのにもっとも効果的です。
このことは、残念ながら「GOTOキャンペーンの見直し・一時停止を検討する」という政府の判断によっても証明されています。
非常事態宣言が解除された後の2020年7月から始まったGOTOトラベルキャンペーンの利用者は、11月中旬までの間に延べ3138万人です。
そして、GOTOトラベルキャンペーンの利用者のうち少なくとも131人が新型コロナウイルスに感染しているのですが、当初はこの因果関係について政府も否定的でした。(2020年11月10日時点)
しかし、そこから10日ほどしか経たないうちに政府は「GOTOキャンペーンの見直し・一時停止を検討する」と公表しています。
参考:ヤフーニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/ed2e21593bca98295517473669208cf37bf67cd5
延べ3138万人の利用者のうち131人が感染したというのは、数字で見ると小さなものに感じられます。
しかし、そこから感染が広がっている可能性は十分にあるわけです。
政府は「キャンペーンが感染拡大に繋がったわけではない」と否定しますが、感染拡大に繋がっていないのであればキャンペーンを一時停止する理由はありません。
もちろん、感染拡大の原因がすべてGOTOキャンペーンにあるわけではないのですが、確実にその一端を担ってしまったことは間違いないでしょう。
冬の乾燥する時期とGOTOキャンペーンによる人の動きが重なれば、より多くの地域で「3密」が回避できない状態になります。
多くの人が電車や飛行機を使った旅行をおこなえば、「3密」の定義である「密閉・密集・密接」は免れません。
こうしたことからも「3密」を避けることは新型コロナウイルスの感染予防に大きく役立つことが分かるわけです。
「3密」は世界的にも認識されている
日本でいうところの「3密」は、海外で「Three Cs(3つのCs)」という言葉に変換されて認識されています。
【WHOの定義】
- Crowded places (人が集まる場所)
- Close-contact settings (濃厚接触になる状況)
- Confined and enclosed spaces (閉鎖かつ密閉された空間)
こちらは2020年7月にWHOが発信した内容ですが、ほぼ日本の「3密」と同じような意味となっています。
また2020年10月、イギリス政府は日本の「3密」に「D=duration(長時間の3密状態)」と「V=volume(大声で歌ったり叫んだりすること)」というオリジナルの2項目を加えた上で注意喚起をおこなうと発表しました。
このように日本が定義づけた「3密」は世界にも浸透していて、その予防効果が高いと考えられているわけです。
3つの密を回避するための対策について
それでは次に3つの密を回避するための具体的な対策についてご紹介していきたいと思います。
3つの密が重なるとクラスターが発生しやすいと言われていますので、ひとつでも密になる環境をなくすよう日頃から注意しましょう。
3密①密閉を避ける対策
「3密」の定義のひとつである「密閉」には、狭い空間にいることや換気の悪いところにいることが意味として含まれています。
そのため具体的な対策としては、
- 「窓がない上にスペースが狭い店舗はあまり利用しないようにする」
といったことが挙げられますが、コロナの感染は自宅でも起こり得るので
- 「狭い家の中で複数人が共同生活を送ることは避ける」
といったことも考えなければいけません。
また、こうしたことから考えるとやはり「カラオケボックス」や「ライブハウス」といった閉鎖された空間は感染リスクが高まると言えるでしょう。
感染者数が落ち着いていたころでもカラオケボックスでのクラスターというのは発生していたので、利用する際にはなるべく「広い部屋を少人数で使い距離を保つ」といった意識が必要です。
3密②密集を避ける対策
新型コロナウイルスの感染予防対策としては「とにかく人と会わない」というのがもっとも効果的です。
人が密集しているところにさえ行かなければ、感染リスクを大幅に下げることが出来ます。
もちろん会社に勤めている方の場合は毎日出勤をしなければいけないわけですが、出来ることなら
- 「人が密集する満員電車を避け、空いている時間に出社する」
といった行動を心掛けてください。
また、大人数での飲み会や各種イベントには極力参加しないというのも基本的なコロナ対策のひとつです。
日本では段々と新型コロナウイルスに対する警戒心が薄れてきているように感じられますが、年末年始など人と会う機会が多いときこそ「密集を避ける」という意識を強く持っておくようにしましょう。
3密③密接を避ける対策
仕事をしていれば毎日誰かしらと会う機会があるわけですが、そういったときには相手との距離感を保つことが重要となります。
これがいわゆる「ソーシャルディスタンス」という言葉の意味なのですが、最近では「フィジカルディスタンス」と呼ぶところもあるようです。
もちろんどちらも意味としては同じです。
人と会話をするときはだいたい2メートルほどの距離を空けると感染リスクが下がると言われていますので、今一度その意味を再確認して日頃から実践していきましょう。
また、近い距離で人と会話をせざるを得ないときには必ずマスクを着用し、咳などをする場合は相手から顔を逸らすよう努めるのもマナーのひとつです。
コロナ対策は「感染しない」ことも大事ですが、「感染させない」ことも非常に大切です。
これは家庭内でも言えることですので、今はなるべく家族とも距離を空けて会話をするようにしてください。
「3密」を意識した新しい趣味の見つけ方
新型コロナウイルスの感染予防をおこなう上で「3密」の回避は非常に効果的ですが、こうしたことを意識した上で生活していくには新しい趣味を見つけることも大事です。
「3密」を意識することは感染予防に大切なこととは言え、それでストレスを溜めて体調を崩してしまっては意味がありません。
そこで最後に「3密」を意識した上で楽しめるいくつかの趣味をご紹介していきたいと思います。
適度にストレスを解消しながら「3密」を避けられればそれがベストですので、どうぞ参考にしていってください。
キャンプなど開放的な空間でおこなう趣味を見つける
もともとインドア派でひとりでも楽しめるという方は問題ありませんが、休日は外に出て遊びたいという方も多いかと思います。
そんな方の場合は、キャンプなどアウトドアに関連した趣味がおすすめです。
屋外であれば少なくとも「3密」のうち「密閉」には当てはまりませんので、コロナの感染リスクというのはだいぶ抑えられます。
もちろん複数人でキャンプに行く際にはテントを分けるなどの工夫が必要ですが、それでも屋内で人と集まって何かをするよりかは安全です。
また、車を持っていれば人と接触することなくキャンプ場まで行けますので「密接」の状態になることもありません。
最近はキャンプブームということもあり必要な道具が手に入りやすくなっていますので、ぜひこの機会に新しくアウトドアな趣味を見つけてみてはいかがでしょうか。
アウトドアに関連したほかの趣味で言えば釣りや登山など、外で遊ぶことが好きな人ならきっと自分に合った趣味が見つかると思います。
ネット配信形式の音楽ライブなどを楽しむ
最近は「3密」を避けるために、アーティストの音楽ライブがネットで配信されるようになってきました。
そのため、これまでは会場まで行かないと見られなかった貴重なライブパフォーマンスが自宅にいながら見られるようになっています。
もともとライブ会場に行くのはハードルが高いと思っていた方でも気軽にライブが楽しめますので、これをきっかけに色々なアーティストのライブ配信を見るというのもおすすめです。
また、ほかにもミュージカルや演劇の舞台もネット上でライブ配信をおこなっていますので、そちらもぜひご覧になってみてください。
ひとりで楽しめる趣味というのは、現在のコロナ禍において非常に貴重です。
ネット配信形式のライブであれば「3密」の心配が一切ありませんので、コロナの感染に不安を抱える人でも安心して没頭できるかと思います。
家族と一緒のお出掛けなら美術館や博物館もおすすめ
家庭内に感染者がいない家族が出掛けるのであれば、比較的人との接触が少ない美術館や博物館がおすすめです。
もちろんひとりで美術館巡りをするのも、新しい生活様式の中では良い趣味と言えるでしょう。
美術館や博物館ではあまり大声で話す人がいませんので、飛沫による感染リスクがそこまで高くないと考えられます。
また、ちゃんと人との距離感が保てるというのも美術館や博物館巡りのメリットです。
このように「3密」を回避しながら楽しめる趣味というのはたくさんありますので、ぜひ適度に息抜きをしながら今後も感染予防に努めてください。
総括
今では一般的に定着してきた「3密」という言葉ですが、この記事ではあらためてその内容をまとめてきました。
「3密」を回避することは新型コロナウイルスの感染予防に大きく役立ちます。
感染が流行し始めてから半年以上経過したことで段々と慣れてきてしまった人も多いと思いますが、ぜひ今一度「3密」を避けるということを意識してみてください。
たったそれだけの行動でも感染者の数を抑えることは十分に可能です。