日本では緊急事態宣言が解除されたものの、いまだに新型コロナウイルスの感染者数というのは落ち着くことがありません。
なお、2020年7月中旬時点では、政府は今後また緊急事態宣言を発令する予定はないと明言していますので、感染を防止するためには国民ひとりひとりが自分で判断をして行動しなければいけない状態となっています。
そうした中、政府が利用を推奨しているものが「新型コロナウイルス接触確認アプリ」です。
過去に感染履歴がある人間が、自分の近くにいるとき、その存在を知らせてくれるというのがこちらのアプリの役割です。
また、アプリの利用者には感染者との接触時間や距離などを考慮した上で、検査の必要性なども通知してくれる仕様となっています。
この記事ではそんな「新型コロナウイルス接触確認アプリ」の使い方や普及率についてご紹介しています。
仮に全国民が利用したとすると非常に便利なように感じるこのアプリですが、実際にはまだまだその普及率は高くありません。
なぜ普及率が低いのか?その原因は何なのか?どういう仕組みをしているのか?
こうした疑問を解消するために、いろいろな角度からコロナ接触確認アプリの概要を解説していきますので、ぜひ参考として最後までご覧になっていってください。
新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」とは?
このたび政府および厚生労働省は、新型コロナウイルス感染拡大防止の一環として、感染症対策テックチームと連携をおこない「新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)」を開発しました。
なお、COCOAというのは「COVID-19 Contact Confirming Application」の略称です。
厚生労働省としてはこのアプリが普及することで、感染者に接触した利用者がいち早く検査を受けて「陽性か陰性か」が分かるようにしたいとの考えを示しています。
また、おそらく多くの国民がこのアプリを利用することにより、人々が自発的に人口密集地帯に行くことを避けるようになるのではないかという思惑もあると考えていいでしょう。
そんなコロナ接触確認アプリですが、まずは概要からご覧いただきたいと思います。
コロナウイルス接触確認アプリの概要
「新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)」はスマートフォンにアプリをインストールし、その情報をブルートゥースで交換しあうことで利用者同士の接触状況が確認できるというアプリです。
簡単に言えばアプリをインストールしている者同士が近づくと、ブルートゥースを介してその近づいた情報が共有され、感染者と接触があればお知らせしてくれるというアプリとなっています。
感染者との接触が通知されるには、感染者と一定以上の距離・一定以上の時間近づくことが条件とされていますが、状況によっては医療機関へ検査を受けるよう促されるという機能も付いているのが大きな特徴です。
なお、この一定以上の距離と時間というのは以下の通りです。
【コロナ接触確認アプリの基準】
- 感染者との距離が1メートル以内であること
- またその接触時間が15分以上であること
この条件に当てはまると利用者のスマホには通知が届くことになっていて、場合に応じてはPCR検査などを受けるよう指示されるというわけです。
ちなみに、このアプリを介して検査を促された場合は、利用情報を提示することでスムーズに検査が受けられるというメリットがあります。
これまではコロナウイルスの検査を受けるのに時間が掛かりすぎるという不満もありましたが、このアプリを利用すれば万が一の際にも素早く医療機関を受診できるようになるということです。
アプリ対応端末とインストール方法
コロナ接触確認アプリはiPhone端末ではiOS 13.5以上、アンドロイド端末ではAndroid 6.0以上の機種に対応しています。
ただし、アンドロイド端末の場合は機種によって非対応のものもありますので、以下厚生労働省のホームページ内に記載された「対応機種」で確認をしてみてください。
参考:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/cocoa_00138.html
なお、インストールをする方法はまずAPPストアやGoogleプレイストアにて「コロナ接触確認アプリ」と検索します。
そのあとは通常のアプリと同じようにインストールボタンをタップすれば完了です。
機械に詳しくない方でも扱える仕様にはなっていますので、興味がある方はぜひ一度アプリをご覧になってみてください。
ただしこちらのアプリを利用する際にはいくつかの注意点がありますので、そちらについても確認をしておきましょう。
コロナウイルス接触確認アプリの注意点・不具合について
まずコロナ接触確認アプリを利用する上での注意点をご覧ください。
- ブルートゥースに接続していないと接触の記録がされない
- 一度アンインストールをするとそれまでの記録が削除される
- 記録される情報は14日で自動的に無効となる
以上の注意事項を守らないと正確な情報が受信できず、コロナ感染者と接触をしても通知が来ません。
そのため、外出をする際には常にブルートゥースをオンにしておくこと、また一度インストールしたら削除しないようにしてください。
なお、アプリがリリースされてからこれまでの間に「陽性者の登録がうまく反映されない」という不具合が発生しましたが、現在のところこの不具合は解消されています。
ただし、アプリの不具合を修正するためには一度アップデートする必要がありますので、すでにアプリをインストールしているという方はアップデートをおこなうようにしましょう。
また、このアプリは2020年6月19日にリリースされていますが、そこから1ヶ月間は試運転期間となっています。
この試運転期間にはアプリ内のデザインや機能が修正されることがあると発表されていますが、おそらくその後も修正が入ることはあるでしょう。
そのため、こちらのアプリを利用するのであれば常に最新の情報を確認し続けることが重要となります。
ということで次に、実際このアプリをインストールした後の使い方というのをご覧いただきたいと思います。
新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」の使い方
現状としては、コロナ接触確認アプリの存在は知っていても、その使い方までは知らないという人が大半です。
そこで、まずはこのアプリの使い方から知っていきましょう。
コロナウイルス接触確認アプリの使い方
コロナウイルス接触確認アプリの使い方は、アプリをインストールしたあとに利用規約に同意し、接触検知システムを有効状態にするだけです。
あとはブルートゥースをオンにしておけば自動的にほかの利用者との接触を記録するようになります。
また、アプリの設定をしたあとはバックグラウンド上で停止をしても機能自体は止まりません。
そのため、無駄な通信費や電力の消費がされないようになっています。
もちろん通常の状態でもこのアプリによる通信費が掛かることはないため、各キャリアのパケット料金が高くなる心配もありません。
(通知を受け取るときのみ通信費が掛かる仕組みとなっている)
なお、多くの人が心配だと感じている「個人情報」についてですが、このコロナ接触確認アプリを起動するときに氏名や電話番号などを入力することは一切必要ありません。
あくまで自分のスマホと他アプリ利用者のスマホの近接データを収集するためだけに使われていますので、このアプリから個人情報が洩れることはないとされています。
コロナ感染者との接触が確認される仕組み
このコロナ接触確認アプリの仕組みは非常に単純で、利用者同士が近くに来たときにのみデータが記録されるようになっています。
そして、その近づいた他の利用者が陽性登録をしている人であれば通知が来るという構造になっているわけです。
そのため、陰性者同士が近づいても特に反応することはありません。
あくまで陽性登録者との接触を確認する目的で開発されたものですので、そうした人とすれ違わない限りは無反応状態が続きます。
しかし、気になるのは実際にこのアプリがどれくらい普及しているのか?という点です。
新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」の普及率は?
現在のところ、コロナ接触確認アプリがインストールされた数は延べ695万件とされています。
(2020年7月15日付け厚生労働省ホームページのデータより)
なお、一度アンインストールして再度インストールした場合は、その分だけ合計数にカウントされるようになっています。
コロナウイルス接触確認アプリの普及率について
ご紹介したようにコロナ接触確認アプリのインストール数というのは695万件です。
これをおよそ700万件とした場合、国民全体での普及率というのは約6%前後となります。
(国民1億人~1億2千万人とした場合、5.8%~7%ほどになるため)
政府はこのアプリの普及率が国民の6割にまで引き上がると感染防止対策に大きな効果があると発表していますが、現実的にはかなり厳しい数字と言わざるを得ないでしょう。
ちなみに国民の6割というとおよそ7200万人がその目安となる数字です。
これはLINEのユーザー数より若干少ないくらいの数字なのですが、果たしてそこまで浸透するのか?ということが疑問視されています。
また、このアプリの要となるのが「陽性者が登録をしているのか」という点ですが、これに関して厚生労働省は2020年7月8日までの段階で陽性登録者は3名と公表しています。
正直これまでの国内感染者数を考えると、アプリリリースの段階で陽性登録者が3名というのはほとんど無意味であることのように感じられてしまいます。
そのため、今後は「どうしたらコロナウイルス陽性反応だった人がこのアプリに登録してくれるようになるか」という議論を進めることになるでしょう。
コロナアプリの普及率を上げるために求められる対策
一部の報道では「アプリを利用することで携帯料金が割引されるなどの対策を取らないと利用者が大幅に増えることはない」といった見解も出ているようです。
とは言え、陰性者がアプリに登録をする数を増やすよりも、まずは陽性反応が出た人の登録を進めることが急務と言えます。
しかし、陽性反応者に対して国や自治体がアプリのインストールを強要し、またその使用を促すということは法律上できません。
そのため、こうしたアプリがリリースされたとしても、コロナウイルスを広めないための対策は、あくまで国民ひとりひとりのモラルや自主性によるところが大きいという結論に達するわけです。
新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」に関するQ&A
最後に新型コロナウイルス接触確認アプリに対して、比較的多く寄せられている質問に答えていきたいと思います。
アプリを使うことで個人情報が洩れる心配は?
先ほども軽く触れたように、コロナウイルス接触確認アプリを使用することで個人情報が洩れることはないとされています。
まず個人情報を入力する項目がありませんので、個人情報が洩れるとすれば端末自体をハッキングされることくらいしか可能性がありません。
また、このアプリをアンドロイド端末で起動させると「位置情報をオンにしてください」といった通知が来る場合があるのですが、これはアンドロイド端末の仕様であってアプリ自体が位置情報を取得するわけではないということを理解しておいてください。
アプリに関して「位置情報を知られるのはイヤだ」という意見もあるようですが、このコロナ接触確認アプリで位置情報が誰かに知られることはないということです。
アプリを利用するメリットはある?
コロナウイルス接触確認アプリを利用するメリットは、自分が感染したかもしれないという可能性が発生したとき、速やかに検査が受けられるという点です。
感染が早期的に発見されればその分有効な治療や隔離がおこなえるため、自分にも他者にも有益であるというのがこのアプリの役割となっています。
ちなみにこのメリットに関して、その具体性について考えてみました。
たとえば、今後アプリの普及率と陽性登録者の数が増えてきたとしましょう。
そして通勤の電車内や取引先の方に陽性登録者がいたとします。
このときアプリをインストールしておけばすぐに通知が来て、検査を受けることが出来ます。
すぐに対応することが出来れば、家族や職場の方などに対して感染を広めることがありません。
例えそこから自分が陽性結果になったとしても、家族や職場の方が無事であれば回復後に日常へ戻ることができます。
しかし、感染を知らずに他の人へとうつしてしまえば人間関係が悪化してしまい、地方などでは近所づきあいなどが心苦しくなってしまうケースも考えられます。
コロナウイルス接触確認アプリには、こうしたリスクを未然に防ぐ効果があるわけです。
つまりこの考え方を踏まえると、もしかしたら都市部よりも地方でのコミュニティーの方がこうしたアプリが必要と言えるかもしれません。
もちろんこの話には陽性登録者数の増加が必須ですが、今後そうした動きも注視しながら利用を検討してみてもらえればと思います。
総括
厚生労働省が開発した新型コロナウイルス接触確認アプリについてご紹介してきました。
現段階ではその有効性があまり確認できませんが、今後もし普及率が増加してくれば非常に役立つアプリになることでしょう。
また、自分が仮に陽性という結果を受けた場合は、なるべくこのアプリに登録をするという配慮も必要となってきます。
今のところコロナウイルスの感染を抑える対策は国民のモラルに任されている状態ですので、こうした情報も参考にしてもらえれば幸いです。