2020年6月中旬、現在のところ新型コロナウイルスの感染拡大は世界中でピークを過ぎたと言われています。
しかし、実際には世界中でその感染の第二波が訪れていて、まだまだ完全に収束をしたとは言い切れない状況です。
そんな中、日本ではおよそ2ヶ月におよぶ緊急事態宣言が2020年5月25日に解除されました。
経済活動が再開されることに喜びを表す人たちがいる一方で、コロナウイルスの第二波に警戒する人たちも少なくありません。
そこで、ここではコロナウイルス感染拡大の第二波が訪れるのかどうか?訪れるとすればいつ頃なのか?ということを世界の事例から解説していきたいと思います。
また合わせて、あらかじめ第二波を引き起こさせないための対策などについてもまとめていますのでぜひご覧ください。
コロナウイルスの第二波を抑えるために知っておきたいこと
2019年11月に中国・武漢で誕生した新型コロナウイルスですが、その猛威というのはいまだに衰えることがありません。
2020年2月から4月にかけて世界中で感染者数が爆発的に増加した新型コロナウイルスには、まだまだ判明していないことが多くあります。
ただし、各国の懸命な取り組みによって同年5月ごろより感染者数の増加率が下がってきていることは事実です。
しかし、その一方で4月ごろより感染者数が少なくなってきていた地域・国の中には、5月下旬ごろから感染の第二波が訪れているところもあります。
日本も緊急事態宣言が解除されたことによって、どことなく「コロナウイルスの脅威はなくなった」と勘違いする人たちが多くみられますが、コロナウイルス感染拡大の第二波というのはけっして他人ごとではありません。
そこで日本で第二波を発生させないためにも、まずは世界におけるコロナウイルス第二波状況を確認しておきたいと思います。
世界におけるコロナウイルス第二波の状況
ここでは世界におけるコロナウイルスの第二波状況というのを見ていきます。
「コロナウイルス 第二波」という表現は、一度は感染者数が減少したにも関わらず、時間を経てまた感染者数が増加傾向にあることを指します。
そのため、ブラジルなどのように感染拡大が多く見られた2020年3月~4月ごろから対策を講じずに継続して感染者数が記録している国は参考例から除外しています。
<コロナウイルス感染拡大第二波が報告されている国・一例>
- アメリカ
- スウェーデン
- 中国
まずアメリカは2020年3月より全州においてロックダウンをおこない、外出への制限を厳重にかけていました。
そういった取り組みもあり、同年5月中旬までに感染者数が減少傾向となっています。
その結果、5月21日に全州におけるロックダウンが解除されることになりましたが、その後に第二波と見られる感染拡大が起きています。
なお、現時点(2020年6月17日)で発生しているアメリカでのコロナウイルス感染第二波の状況は以下の通りです。
- 6月16日アリゾナ、フロリダ、オクラホマ、オレゴン、テキサスの5つの州で「新規感染者数の増加幅」が過去最高を記録
- 同時期のネバダ州では1日の新規感染者数が5月上旬ぶりに「過去最高人数」を記録
アメリカではご覧のように外出制限を解除したことによって、深刻な第二波の影響を受けています。
続いてスウェーデンの事例を見てみましょう。
スウェーデンはもともとコロナウイルスへの対策として集団免疫の獲得を目指していました。
そのため、ほかの欧米諸国のように厳しい外出制限などを初めから設けていません。
それでも4月時点では近隣北欧諸国と比較して感染者数がそこまで極端に多くなかったので、有効な手段のひとつとして考えられていました。
しかし、5月の中旬ごろから感染者数が爆発的に増加し、6月時点では北欧の国の中でもっとも感染者数・死亡者数の多い国となっています。
- 6月11日のスウェーデン政府公式発表、1日あたりの感染者数の最高記録を観測
- その数は1474人
- 6月中旬時点でのスウェーデン国内の感染者数は5万人超え、死亡者数は5,000人弱
この数字は近隣の北欧諸国と比べても明らかに高い数字で、コロナウイルス感染の第二波を抑えきれなかったことを物語っています。
つまり、「集団免疫を獲得する」という対策は効果がないということを実証したわけです。
これによってスウェーデンは北欧だけでなくヨーロッパ各国から批難の声を浴びていますので、日本も第二波を抑えるためにはこうした実例をよく参考にしなければいけません。
続いて最後の事例として中国の感染第二波状況を見てみましょう。
中国はもともとコロナウイルスの発症国なので、早い段階から都市封鎖などの措置に踏み切っていました。
そのため、感染者数が爆発的に増加したのは3月までとなっていて、その後4月~6月中旬まではほとんど新規感染者というものを出していません。
なお、これまでの中国本土における感染者数はおよそ84,000人、死亡者は4,600人ほどと発表されています。
もちろん情報統制が厳しい国のため本当の数字かどうかが分からない上、他国との状況を比較してみると感染者数の数字が少なすぎるという指摘もあります。
参考:BBC
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-52210466
とはいえ、ここでは第二波の状況を解説することが目的ですので、仮に中国の新規感染者数が本当に4月~5月時点で減少していたとして話を進めていきます。
中国でコロナウイルスの第二波が記録されたのは6月中旬のことです。
主に北京で多くの新規感染者を記録しましたが、その内訳というのを以下にまとめました。
- 6月11日に新規感染者1名
- 12日に6名
- 13日に36名
- 14日に36名
- 15日に27名
- 合計で106名の新規感染者を記録
これらの感染者は集団で確認されていて、発生源は「北京新発地農産物卸売市場」とされています。
これに対して中国の専門家は「感染が収まっていない欧米諸国からの食料輸入品が原因」といった見解を示していますが、真相と感染経路は不明のままです。
なお、この感染第二波を受けて中国の北京市政府は「非常事態である」ことを認めていますので、今後さらなる規制が掛かることが予想されています。
こうした各国のコロナウイルス感染第二波の状況を考えると、日本も決して他人事ではないということが分かるはずです。
そこで、日本でもコロナウイルスの第二波がやってくるとすれば、それはいつ頃になるのかを見ていきましょう。
日本でのコロナウイルス第二波はいつ頃なのか?
日本でコロナウイルス感染拡大の第二波が訪れると仮定したとき、その可能性が高い時期というのは諸外国からの入国・渡航制限を解除したときです。
また、緊急事態宣言と共に要請された「県をまたいでの移動」が解除されるときもリスクが上がると見られています。
その点を踏まえてコロナウイルス感染第二波が日本で起きるのかを考えていきましょう。
コロナウイルスの第二波が来るとしたらいつ頃か
日本でコロナウイルス感染拡大の第二波が起きるかどうかというのは断定できませんが、他国の状況を見ると少なからず新規感染者数の増加というのは今後ともに発生すると言えます。
そして、それがいつ頃なのか?という疑問に答えていくには
- 「入国・渡航制限の解除」
- 「県をまたいでの移動自粛要請の解除」
この2点が重要なポイントとなってきます。
まず、現在のところ日本では世界各国からの入国と他国への渡航に関して制限を設けている状態です。
しかし、感染者数の推移などからこの制限を段階的に解除していく方針を固めています。
ちなみに「入国・渡航制限の解除」第一弾として、感染者数・死亡者数の少ないベトナムを選んでいます。
(ベトナムの人口はおよそ9500万人、うち感染者数は300人程度で死亡者数はゼロ)
詳細な時期については未定ですが6月下旬とされていますので、この時期から段々と他国への規制解除もおこなわれていくことでしょう。
もちろんこの渡航制限の解除というのはビジネスを目的としたものですので、爆発的に海外からの来日者が増えるわけではありません。
ただし、それでも感染が収まっていない国から日本に人がやってくるというのは非常にリスキーなことです。
この点から考えると第二波が訪れるとすれば入国・渡航制限が解除され始めてからの1ヶ月後前後が危ないと言えるでしょう。
(ウイルスの潜伏期間を考慮した上での見解)
次に「県をまたいでの移動自粛要請」についてですが、こちらも解除されると多くの人々が観光地などへ訪れるようになり、感染拡大が広まる恐れが十分にあります。
なお、解除の目安としては6月19日とされていますが、実際に人々がコロナウイルスを気にせずに動き回るようになったとすると、渡航制限と合わせてもおそらく7月中旬ごろから新規感染者数が増える可能性が高いです。
ちなみに東京都では6月15日前後から新規感染者の数が増えていて、夜の街を通じてその感染が拡散されています。
また、そうした人間が遊び目的で福岡の中州エリアに訪れたことによって、実際に感染者のクラスターが発生していますので、けっして7月中旬ごろから感染者が増えるという予想がただの憶測でないことが理解できるはずです。
参考:毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20200617/k00/00m/040/052000c
さらに7月中旬から8月にかけては大型連休によって観光地、海水浴などに出かける人たちも増えると考えられます。
こうしたことを客観的に見れば、かなり高い確率でコロナウイルスの第二波が訪れると言えるでしょう。
また、こうした意見は多くの医師たちの間でも挙がっていて、8割の医師が第二波は来ると考えています。
参考:日経メディカル
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t344/202006/565989.html
第二波に対しての懸念と原因
緊急事態宣言解除後に新規感染した方の感染経路を見ると、
- 「病院内での感染」
- 「夜の街での感染」
この2つがが圧倒的に多くなっています。
前者は持病などの通院患者やそもそもの入院患者が対象となりますので防ぐことが難しく感じますが、夜の街での感染者を抑えるということは対策次第で可能です。
なお、感染経路不明という方も多いのですが、こちらに関してはおそらく知り合いのお店などに迷惑を掛けたくないという理由で、夜の街に出向いたことを隠匿している可能性も高いです。
こうして考えるとやはり密接な距離、密閉された空間となっている夜のお店というのは感染拡大のひとつの原因になりえると言えるでしょう。
コロナウイルス第二波を引き起こさないための対策とは?
世界における感染第二波の状況、そして国内における感染第二波の原因や予測に基づき、これから日本がどういった対策を講じていくかを解説していきます。
日本でのコロナウイルス第二波対策
まず現在のところ日本ではコロナウイルスの第二波に対して、大きな対策というのを用意していません。
これに関しては厚生労働省などの公的機関のホームページを見ればすぐに確認できるようになっています。
ちなみに厚生労働省が新しく発表したもの(2020年6月17日時点)に関して、今後の対策に役立ちそうなものは「諸外国の行動制限等の現状について」という指標だけです。
参考:厚生労働省HP
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000640930.pdf
もちろんこうした諸外国の取り組みを基に日本も対策を練っていくものと考えられていますが、いまのところはまだ何も決まっていないというのが現状です。
なお、これに関しては政府の反応も同様であり、日本政府が組織立てた「新型コロナウイルス感染症対策本部」によるコロナウイルス対策の基本的な指針は「5月25日付けの変更分」から変わっていません。
参考:新型コロナウイルス感染症対策本部決定
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000633503.pdf
こういった現状を目の当たりにすると、我々というのはあくまで自分たちで第二波に対する予防を考えなければいけないということが分かります。
自分たちでおこなう第二波対策について
国が第二波への対策を明確に打ち出さない限りは、国民は自分たちで身を守らなければいけません。
そこで知っておきたいのが感染拡大を防ぐための具体的な方法です。
以下では、主に「一般社団法人日本感染症学会」の論文を参考に、有効な第二波対策をまとめました。
自分たちで出来る方法というのもありますので、ぜひ参考にしてみてください。
<コロナウイルス第二波対策>
- マスクの着用を継続
- 三密への警戒と予防意識
- PCR検査と抗体検査の有効活用
- 高齢者への活動制限
- 軽症者、重症者の割り振りを適切に判断
参考:一般社団法人日本感染症学会
http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_rikai_200615.pdf
このうち自分たちがおこなえる対策というのはマスクを着用し続けること、そして引き続き人が密集する空間へ行かないことの2点です。
結局のところ、多くの人との触れ合い・関わり合いが感染リスクを上げるため、こうした基本的な予防法こそが第二波への対策として挙げられるというわけです。
結論
新型コロナウイルスの感染拡大第二波について、その原因と対策についてご紹介してきました。
自分たちでおこなえる予防法をしっかりと理解しながら、今後はまだまだ警戒を解かないようにすることが非常に大事という点が分かっていただけたかと思います。
有効な治療法が確立されるまでは、出来る限り新しい生活様式というものを意識しながら日々を過ごしていくようにしましょう。