日本ではすでに新型コロナウイルスの「第3波」と見られる感染拡大が確認されていますが、隣国である中国や韓国ではどういったことになっているのか?というのも気になる部分です。
そこで、この記事では中国をメインに日本の隣国と称されることの多い韓国や北朝鮮のコロナウイルス感染者数やその対策方法にスポットを当ててご紹介していきたいと思います。
中国の湖北省・武漢から始まった新型コロナウイルスによる世界的パンデミックですが、そんな中国では「どんな対策を取っていて今の感染者数はどれくらいなのか?」など、詳しく掘り下げていきますのでぜひ参考にしていってください。
隣国のコロナ感染者数について
11月以降の日本では新型コロナウイルスの新規感染者が連日数多く報告されています。
また、世界に目を向けてもアメリカやヨーロッパといった経済主要各国では新型コロナウイルスの第2波・第3波と見られる感染拡大が深刻化してきています。
しかし、これに対して比較的感染者数の増加が見られないのが、新型コロナウイルスの世界的パンデミックを引き起こした中国です。
- なぜ中国ではそこまで新型コロナウイルスの感染者数が伸びないのか?
また
- 中国から近く日本の隣国のひとつにあたる韓国や北朝鮮では感染者は増えているのか?
日本人からするとこういった疑問を持つわけですが、まずはそんな中国・韓国・北朝鮮におけるこれまでの感染者の数というものを見ていきましょう。
中国のコロナ感染者数に関する情報
新型コロナウイルスが最初に発見された中国では、現在までに86,000人ほどの感染者を出しています。
このうち死者数として報告されているのは4,600人ほどとなりますので、その死亡率はおよそ5.3%と計算できます。
次に「この数字がどれくらいのものなのか?」というのをイメージしやすくするために、日本のデータと比較していってみましょう。
(本記事のデータは12月2日時点のものです。また分かりやすくするために感染者などの数字は概算で表記しています)
【コロナ比較】日本と中国の場合 | |||
---|---|---|---|
人口 | 累計感染者数 | 死亡者数 | |
日本 | 1億2千万人 | 150,000人 | 2,100人 |
中国 | 13億8千万人 | 86,000人 | 4,600人 |
まず日本のデータから計算してみますが、日本の場合は総人口に対して感染者の数が0.12%ほどとなっていて、そのうち死亡者の割合を算出すると1.4%という数字が出てきます。
これに対して中国の感染者率は総人口の0.006%にあたり、死亡率は先ほどの5.3%という数字になります。
このことから考えると中国は総人口に対して感染者の数は少ないが、死亡率に関しては高い数字を持っているということが分かるわけです。
ちなみに世界でもっとも新型コロナウイルスの感染者数が多いアメリカで見てみますと、以下のような数字が出てきます。
【コロナ比較】アメリカの場合 | |||
---|---|---|---|
人口 | 累計感染者数 | 死亡者数 | |
アメリカ | 3億2千万人 | 13,800,000人 | 270,000人 |
感染者率は4.3%、死亡率は1.9%となっています。
当然のことながらアメリカの場合は感染者率が非常に高いところが特徴的な部分です。
特に中国と比較するとその割合の高さが際立って見えます。
ただし、死亡率で言いますと医療が発達しているおかげか、そこまで高い数値を見せていません。
ここまでで、中国におけるこれまでの感染者数・死亡者数・その割合というものが分かりましたが、次に感染者の推移について見ていきたいと思います。
これまでに報告されている中国の感染者数の推移をグラフ化したものがこちらです。
ご覧いただくと分かりますが、最初の感染爆発で感染者数を増やしただけで、あとはなだらかにその数を減らしていっています。
これは世界の国々と比較しても非常に稀なケースで、こういったグラフの形をしている国はほとんどありません。
ちなみに日本人にとって馴染みがある国でいえば台湾も初期対応に成功した国のひとつとなりますが、そんな台湾でも10月ごろからはまた少しずつ感染者の数が増え始めています。
そのため、中国のように感染拡大の封じ込みに成功している国というのは皆無と言えるわけです。
なお、「なぜ中国ではこうした数字が出るのか?」というのはこの後ご紹介する「対策」が影響してくるのですが、その前に日本の隣国の一部である韓国と北朝鮮における感染者数も見ておきましょう。
韓国のコロナ感染者数に関する情報
これまでに韓国で新型コロナウイルスに感染した人の数というのはおよそ35,000人です。
このうち死亡者は500人強となっていますので、その死亡率は1.4%と計算できます。
なお、韓国の総人口はおよそ5千万人なので、感染者率は0.07%です。
このことから考えると、日本よりも感染者率は低いが死亡率は同じくらいということが分かります。
次に韓国の感染者数の推移を見てみましょう。
こちらのグラフは、ほかの多くの国と同じように3月~5月ごろにかけて感染が拡大し、いったん落ち着いたあとに第2波・第3波を迎えていることを示しています。
細かなグラフの波や感染者の数は違いますが、感染が増加している国のほとんどはこのグラフの形をしていますので、韓国も例外ではないということが分かるわけです。
ちなみに11月下旬ごろからの感染者数で見てみると、韓国全体では1日平均500人前後の新規感染者が出ていることになります。
日本と比較するとやや少ないですが、韓国も日本同様に第3波の影響が出ていると言えるでしょう。
北朝鮮のコロナ感染者数に関する情報
次に北朝鮮のコロナ感染者情報を見ていきたいと思いますが、まずはこちらをご覧ください。
このように北朝鮮は国内の感染者情報を発表していないので、まったくその現状が分かりません。
北朝鮮メディアは「国内でコロナの感染者はゼロ」と謳っていますが、これは軍事外交に弱みを見せないための策略のひとつと言えます。
なお、周りの国でこれだけの感染者が出ているにも関わらず、北朝鮮だけ感染者がゼロというのは常識的に考えてありえません。
そこで、実際の数字はどれくらいなのか?と考えたときに、参考となるのは隣接する韓国のデータです。
地理などの条件的には韓国と同じような感染者数が出ていても不思議ではないのですが、独裁的な政治が特徴でもある北朝鮮の場合は「感染者の隔離」を徹底しておこなえる可能性が高いと考えられます。
また、ほかの国との国交の少なさも考慮すると、韓国より感染者の割合は低いと言えるかもしれません。
隣国のコロナ対策を解説
中国や韓国、北朝鮮といった隣国の感染者数についてご紹介してきましたが、次はそれぞれの国でおこなっているコロナ対策について見ていきたいと思います。
中国におけるコロナ対策について
先ほどもご覧いただきましたが、中国はコロナの封じ込みに成功している世界でも数少ない国のひとつです。
そんな中国ではいったいどんな対策を取っているのか?という部分を解説していきたいと思います。
なお、中国でおこなっている主な対策というのは以下の3つです。
- ロックダウン
- 個人情報の共有
- 健康コード
新型コロナウイルスが最初に発生したときに、中国がまずおこなったものがロックダウンです。
ウイルスが確認された湖北省・武漢をはじめ、感染者が急激に増えた地域に関しては即座にロックダウンをおこない感染者をそのエリアから出さないようにしました。
これにより感染者の連鎖をくい止め、現在のように低い感染率を保っているとされています。
次に中国が初期段階からおこなっていたのが個人情報の共有です。
簡単に言いますと、中国では「コロナに感染した人の情報」が一般的に公開されるようになっています。
感染者の情報は中国の中央電視台(CCTV)が発信する「央視新聞」というSNSのようなもので公開されているようですが、現実的に以下のような情報が出回っていたようです。
「39人目の感染者。縦某。男。32歳。海運会社の車両修理員。現住所は大連湾街道棉花島。7月24日に感染者との濃厚接触があったことからPCR検査をしたところ陽性と判定。現在、隔離治療中。当人との濃厚接触者も隔離して医学観察中。当人の行動経路は以下の通り。7月22日6時30分、1003番バス(棉花島駅-中遠1号門)で出社。15時、通知を受け自宅隔離」
個人情報の管理が厳しい日本では考えられないような対策ではありますが、こうした情報を一般に公開することによって感染者に近付かない・感染者が出歩けない状況を作っていったわけです。
そして、極めつけともされる中国のコロナ対策が「健康コードの導入」となります。
健康コードというのは自分がコロナに感染している可能性が高いかどうかを知らせるアプリです。
PCR検査の結果や移動の経緯などを情報として読み込ませることで利用者の感染確率を3段階に分けて表示するようになっています。
健康コードが示す自分の色が「緑」であれば感染している確率が低いとされ、公共交通機関やショッピングモールに入れるのですが、この色が「黄色」や「赤」になると感染している可能性が高いと考えられ隔離の対象となったりするわけです。
ちなみに黄色だと7日間の隔離、赤だと14日間の隔離となるようです。
いまや中国内ではこの健康コードがないと移動することすら困難な状況となっていて、12月1日からは日本人が中国へ行く際にも健康コードに登録をしていないと入国が出来なくなりました。
参考:http://www.china-embassy.or.jp/jpn/lsfu/t1836108.htm
なお、健康コードは中国政府が管理する個人情報データベースと連動しているため、都市部で生活する中国人などはその追跡調査から逃れられないようになっています。
つまり国が個人の情報を完全に管理し「この人は大丈夫、この人は危ないかもしれない、この人は感染確率が高いから隔離する」といった形でコロナの感染拡大防止に努めているということです。
このように中国では徹底した個人情報の管理によってコロナの封じ込みをおこなっています。
日本人からするとなかなか非現実的に感じられる部分も多く、個人情報が軽視されている中国ならではの対策と言えますが、それでもコロナ対策として一定以上の効果があることは分かっています。
韓国におけるコロナ対策について
続いては韓国におけるコロナ対策を見ていきましょう。
韓国がおこなってきた主なコロナ対策は以下の3つです。
- 大量のPCR検査
- 氏名を伏せた上での感染者情報公開
- 感染者の強制的追跡調査
まず韓国ではいち早く多くの国民にPCR検査を受けさせるよう対策を取り始めました。
症状がない人でもすぐに検査ができる体制を整え、さらには車に乗りながらでも検査ができる施設などをどんどん作り国民の検査数をとにかく増やしたのです。
これにより初期段階での感染者の特定がおこなわれ、コロナの拡散を抑えていったとされています。
また、韓国ではスマホアプリなどで感染者の情報や移動経路が簡単に分かるようにもしています。
こうした情報をもとに、感染者と接触した可能性のある人が自ら検査を受け隔離されることで、より効果的な感染防止対策を進めていったというわけです。
さらに韓国では感染者の追跡調査についても力を入れていて、クラスター発生時には徹底的に接触した人間をあぶり出して検査・隔離をするようにしています。
ちなみにこういった対策が可能となるのはクレジットカードの利用履歴やスマホの位置情報を国が確認できるようになっているからです。
というのも、韓国では以前に流行した別の感染症であるMERSのときに、すでに感染者の追跡を強制的におこなえる制度を整えていました。
それが今回のコロナ騒動でも功を奏し、早い段階から感染者の数を抑える要因になったとされています。
北朝鮮におけるコロナ対策について
最後に北朝鮮におけるコロナ対策の実情について解説していきたいと思います。
とは言っても、先ほど触れたように北朝鮮は国内の感染者情報を発表していませんので、国内でどういった対策が取られているかは分かっていません。
しかし、中国や韓国との国境沿いに地雷を埋めるなどして外部からの勝手な入国を厳しく制限しているようです。
また、これは人だけでなく物資に関しても同様で、これまでに無断で韓国からの物資を受け入れた税関職員が粛清されたなどといったニュースも入ってきています。
こうしたことから、とにかく物理的にコロナウイルスを国内に入れないというのが北朝鮮の根本的なコロナ対策になっていると言えそうです。
総括
日本の隣国におけるコロナ事情について詳しい解説をおこなってきました。
新型コロナウイルスを生んだ中国では、徹底した個人情報管理によって感染拡大を防止していることが理解できたかと思います。
また、韓国や北朝鮮でも独自の対策をおこない感染リスクを抑えていることが分かりました。
とはいえ、日本では現実的に考えて実行するのが難しい対策も多かった印象ですので、まずはこれ以上感染を広げないためにも日々の自衛・感染対策を徹底していくことが大事と言えるでしょう。